本当、あなたたちはいつも口だけね。創風神ヘズは退屈そうに槍を放る。こんなんじゃ、目も覚めないわ。そんな彼女の前、立ち塞がった四人は懸命に堪える。どんな理由があろうと、私はあなたを許すことは出来ない。一度引き裂かれた家族の絆。そしていま、あなたがここにいることを、認めることも出来ないの。
やっぱり若いっていいわね。創光神オーディンの槍を弾いた剣。でも、女王さまがこんなところに出てきちゃっていいのかな。もう、大丈夫。天界は、素敵な王様たちが守ってくれるから。そして、あなたを討つことが、彼の為でもあるんだから。いいよ、そういう若い感情大好きだよ。だから、全力でやりあおうよ。
私はずっとひとりだった。そして、ドライはひとりで散った。だけど、目を覚ましたとき、彼らは、彼女らは私の手をとってくれたの。だから、私はいまここにいる。そう、私はひとりの女になったんだから。ナンバーズと呼ばれていた少年少女たちは神才の元を離れ、自らの足で自らの道を歩み始めていたのだった。
私たちは捨てられた。使い捨てられました。私たちは人ですらなかった。道具に過ぎなかった。フィアが打ち明けた胸中。だから私たちは、あなたに感謝しています。聖導院に差し込んだ温かい光。これは、私たちなりの恩返しです。あなたが守りたいすべてを、私たちが守ります。私たちを、人にしてくれてありがとう。
どうやら、彼らも動き出したみたいなんだ。闇通竜テンゲンへと伝えられた動向。やはり、やっかいな存在ですね。常界を襲う神々による災厄、その裏側には分かたれたふたつの道。どちらが正しいか、その証明をしなきゃいけないね。そう、黄金の夜明けを手にするのは我々だ。もうすぐだね、世界に夜が訪れるのは。
アイツはいま、どこにいるんだ。アカネはスルトのさらに後ろを見つめていた。そうか、真実を知ったというのだな。ふたりの間にだけ通じた言葉。いくら足掻こうと世界の決定は覆らない。そして、その裏側ではとある準備が進められていたのだった。
圧倒的な力を見せ付けるシグルズに対抗する四人。互いに一歩も譲らない攻防戦。そして、そんな戦いを遠くから見つめるもうひとりの青年がいた。そろそろ、僕たちの出番だね。変わり始める均衡、それは偽りの王への道へと通じていくのだった。