飾りの施された竜道閣、そこで開催された誕生日会。なんだか、ちょっと照れくさいよ。恥ずかしさを隠し切れないミドリ。大丈夫、だって私が選んだんだから。親友の心強い一言。それじゃ、みんなで待ってるからね。閉ざされていたはずのふたりだけの世界を開いたのは、未だ見つかることのない道化の火竜だった。
年に一度の誕生日を誰と過ごすかは、世界によって異なるだろう。だが、愛すべき人と過ごすというのは、どの世界でも共通だった。だから、来年は必ず彼らとも一緒に過ごそう。その小さな約束を叶える為に、ふたりは前だけを向いていたのだった。
日常ってなんだろう。アカズキンは想いを馳せる。そう、私が欲しかったのは決して平穏なんかじゃなかったんだ。笑い合える友達がいる。大変なことがあるかもしれない、だけど、それでも大切な友達が側にいる。それが、私の欲しかった日常なんだ。
きっと、私はあのときに死んだんだ。ヒメヅルの言葉は、あのときのふたりの言葉を肯定する為に。だから、こうして友達になることが出来た。戦いが終わり、手を取り合ったふたり。そして、今度は絶対に負けない。いつかまた、戦えることを願って。