別に恥ずかしくたって、いいじゃない。少女はTシャツに袖を通し、心の中でそう呟いた。人の目を気にしていたって、生きづらい世の中よ。それは少女の想い。だが、少女は部屋からでるとき、かならずTシャツの上に一枚羽織るのだった。
私はあの日から、ずっと間違えていたみたいです。これが本当のあなたの選択なんですね。ヴラドが選んだのは、王としての責務を全うすることではなく、たったひとりの友を救うことだった。だからオレは、王失格だ。失望してくれて構わないぜ。
その言葉をそのままお返しいたします。私は、なにもわかっていなかった。王の臣下失格です。こうして、ファティマが奏で続けた幻想は終わりを告げた。そう、あの日のファティマが想い描いた魔王など、初めから存在していなかったのだった。