オベロンの苦悩は続く。いつまでも神の手のひらで踊り続けて、そこに未来は訪れるのだろうか。だが、もし、自分が神に反旗を翻したらどうなるのだろうか。そこに存在していたのは、自らの生への固執などではなく、残された者達への愛情だった。
今回も、彼らは平穏を保っているのだろうね。竜と神の血を引く上位なる存在であるヒスイは、神々に報告を求められていた。あぁ、もちろんあいつらは仲良くやってるよ。その報告に入り混じる嘘。そして、神々はそんな嘘に気づいていたのだった。
ある日、魔界のほど近い街が侵略された。そして、炎が燃え盛る街に立てられていたのは天界の旗。そんな、嘘だろ。ヴラドを襲うのは戸惑いと怒り。なにが起きたんだよ。魔王と妖精王の知らない場所で、かつての聖戦は始まろうとしていたのだった。
私達はあなたのことを信じています。魔界への侵攻指示を疑われるオベロンに優しい言葉をかけるティターニアと配下達。あなたはそんなことをするような人じゃない。だって、あなたは私達を、家族のように、大切にしてきてくれたじゃないですか。
ちゃんと説明しろって。怒りが収まらないヒスイ。どうもこうも、こういうことだ。答えようとしない神々。ふざけんなよ。天界の魔界侵略を偽装したのは、あんたらなんだろ。だが神々は、その言葉にこう返した。報告を偽装したのは、君も同じだろ。
不夜城に集められた魔界の精鋭達。今日はオマエらに話がある。ヴラドが語る天界への侵攻。オレはあえて手のひらで踊ってやるさ。ヴラドは魔界への侵攻が天界の仕業ではないと気づいていた。あいつは優しすぎる。だから、オレが罪を背負ってやる。