すれ違う理想と、ぶつかり合う理念。変革なき平穏を願う天界、犠牲の先の革命を願う魔界。そんな二つの世界を絶対的な力で抑圧する神界と竜界。今こそ、革命の時だ。魔界の王は民の為に立ち上がる。こうして、かつての聖戦は始まった。そして、魔界への対抗勢力の一人に、ヴィヴィアンが存在していたのだった。
カノッサは語る。あなたはもちろん、覚えているでしょう。かつての聖戦が、どのような結末を迎えたのか。戦う力を求め、神の血に近づいた男。守る力を求め、竜の血に近づいた男。そして、そんな二人は、聖戦が終わったとき、自分達が愛した世界に居場所はなかった。今回の犠牲者は、いったい誰になるのかしら。
もし魔界が勝利していたら、私達は危なかったかもしれない。それは魔界の王が、聖戦の先で成し遂げようとしていた理想。今回も、魔界が勝利したら危ないんじゃないのかしら。いいや、今回は指導者が違うよ。彼が成し遂げたいのは、世界への復讐だ。仮面越しに微笑む男。悠久神カノッサは、その笑顔が嫌いだった。
美宮殿に集められた天界幹部。そして、王は魔界への対抗を宣言する。だが、そんな王を真直ぐな瞳で見ることの出来ないヴィヴィアン。だって、あなたは。そんなヴィヴィアンに気付き、優しい視線を返す妖精王。そんなに、悲しい瞳をしないでくれ。