各地で発生する二次災害。防波堤の決壊から始まる悲劇。そんなとき、我先にと、災害現場へと向かう世界評議会警備局災害対策部のアデリー。だが、そんな彼の到着を待っていたのは、すでに氷により修復された防波堤だった。君が終わらせてくれたんだ。声をかけた先には、小さな体で大きな銃鎚を構えた少年がいた。
元気になったみたいでよかったよ。安堵の笑顔を見せた水救員アデリー。俺はまだ、終わるわけにはいかない。少し生意気な笑顔をみせた銃鎚の少年。だけどもう、君たちは評議会の所属じゃないのに。俺たちは今までも、これからも、あの人だけの部下だ。そして、そんな二人を遠くから見つめるもう一人の青年がいた。
水は罪さえも洗い流す。だが、ときに希望すらをも遠くへと連れ去ってしまう。だとしたら、僕たちが希望を留めるように、精一杯頑張るだけだよ。水災対策室は、透き通った綺麗な心で、不安な気持ちを抱えた人々の小さな希望であろうとしていた。