常界に発せられた特別警戒体制。天界と魔界の戦争による二次災害を最小限に食い止めるべく、トンビは各地を鎮圧していた。俺っちの仕事、これ以上増やさないでくれよ。それは決してなまけではなく、心からの声だった。いつか、平和が訪れたら、そん時は満天の星空に、でかい花火でも打ち上げて一杯やろうや。
炎救員トンビは、たびたび不可解な出来事に遭遇していた。救難信号を察し、向かった先で、すでに事件は終わりを迎えていることがあるのだ。助けられた人々もまた、誰が自分たちを助けてくれたのかを知らないという。まっ、天の救いってやつだな。その能天気な思考は幸か不幸か、とある計画への幇助となっていた。
炎による災害が奪う人々の幸せ。だから、俺っちがその幸せを守ってやるんだ。自然の摂理に逆らうことが出来ないとしても、抗うことなら出来るんじゃねぇの。だから俺っちは、めげたりなんかしねぇよ。それは災害に苦しむ人の、小さな希望だった。