自分が王から将へと成り代わった事実に、翠風魔将イバラは気づいているのだろうか。寝惚け眼をこすりながら見つめたのは天界の辺境の街。そして、彼女は一言も言葉を発することなく、その街は茨に覆われた。これは、ただの時間稼ぎにしか過ぎないんだから。そして、彼女は再び深い眠りにつこうとしたのだった。
眠られてちゃ、困るのよ。無数の茨を掻き分けながら、美風精将ヨウキヒは姿を現した。ウチらだって、無益な争いをしたいわけじゃない。だが、すれ違い続ける両陣営。勝利の先に、なにを求めるの。その問いへの答え。勝利、敗北、それを語るのなら、私達は敗北で構わない。無益な戦いが、ここでも始まるのだった。