お題は夢、希望、未来です。だが、少年が提出した作文は空白だった。なにも記されていなかった。普通の両親の元に生まれ、普通の兄と弟に挟まれ、何不自由なく暮していた少年には、特別な未来などなかった。何者でもなく、何かを持っていたわけでもないギンジ。だが、それこそが幼き少年を動かした衝動だった。
そこに何も存在していないのなら、それは終わりなのか、始まりなのか。だが、少年が選んだ答えはそのどちらでもなかった。まだ、始まってすらいなかったんだ。そして少年だけの物語が動き出す。そのとき、何者でもなかった少年に意味は生まれた。
サンタクローズは再び無数のドライバを起動させた。ここは危ない、隠れていてください。エリザベートへと促すマーリン。ううん、私はもう逃げないから。対峙した二人を見つめるエリザベート。そしてナマリはただ、その行く末だけを見つめていた。