仕込みは出来た、これは凱旋した後のお楽しみじゃ。キッチンで一人、スープの仕込みをしていたブラウンは真新しい隊服に袖を通し、過去を懐かしんでいた。あの時は、まだ三人じゃったな。それは特務機関結成時の話。再び私を戦前へ呼び戻してくれて感謝している。どうか、あの時止めなかった私を許さないでくれ。
新しい隊服に袖を通したヒルダは、与えられた任務に口を尖らせていた。どうして私が、こんなことしなきゃいけないのかしら。だが、その尖った口からは、かすかに笑みがこぼれていた。いいかしら、これだけは約束してもらうわ。彼が目を覚ましても、目を覚まさなくても、一発だけ、全力で殴らせてもらうから。