もう一度戦うには、こうする以外に方法はなかったんです。自らの意思で体を捨てた道化竜は、在りし日の姿で古竜王ノアに寄り添っていた。温かいな、まるであの頃が帰ってきたようだ。それは二人だけがわかる、二人だけの思い出。頭に乗せたのは、少し変わった王の証。さぁ、いこう、お前こそが、私のクラウンだ。
あの日、アイツは俺を拾ってくれた。蘇る思い出、いつかの路地裏。いつの間にか、忘れちまってたみたいだ。そしてアマイモンは首輪に手を伸ばした。今も昔も、これからも、俺は飼い犬でいい。剥奪された北魔王の地位、だが、嘆きはしなかった。そう、飼い主だけは、俺が決めるんだ。選んだのは北従者の道だった。
彼の為に僕が存在するように、僕の為に彼が存在するんだ。だが、神才はそれを否定した。だってさ、彼は王である前に。続く言葉を遮る悪戯神。それは、僕達が決めることじゃない、彼が決めることだよ。だから彼に、愛した世界を見せてあげようよ。