やっぱり、似合ってるわよ。急な土砂降り、濡れた身体、母狐が着替えさせたのは初瀬いづなの衣装。そして、ただ着替えのはずが、気がつけば青色の髪へ。お、お母さん。照れとも、怒りとも受け取れるイナリの表情。だが、それを笑顔に変えたのは、一人の男の一言だった。似合ってるよ。そう、父狐の温かさだった。
大切な人を守りたい、それは当然の想い。もし彼がそれを望まなかったら、あなたはどうするのかしら。相手の意思を尊重し、守ることを放棄するのか、それとも自分の意思を尊重し、それでも守り抜くのか。なぜ、そんな質問を。本質はそこにあった。