やっぱり、あいつは最高幹部に相応しくなかった。ベオウルフが腰をかけたのは空いた椅子。火竜はね、神話の時代から、始末される運命にあるんだよ。財宝ではなく、家族を守るだなんて、竜にしては愚かな行為だ。そこで姿を現した話し相手。だからね、キミを推薦したんだ。その言葉には、未来が暗示されていた。
世界評議会最高幹部のベオウルフに与えられた異名、屠竜者。それは、竜を殺す者の証明。だが、彼は人でありながらも、竜の血を引いていた。その手にかけた数多の同胞、そして手に入れた名誉と地位。次にキミは、何を欲しがるのかな。昔にね、狩り忘れた首があるんですよ。そこには、歪な密約が存在していた。
ほら、妹が出来たよ。喜ぶ神才。似てませんよ。不機嫌な原初の機体。まったく、悪趣味なことを。隣で笑う悪戯神。彼の研究成果を生かしてあげたんだ、感謝して欲しいくらいさ。おどけた神才は目の前の新しい機体に声をかける。君の名前は【カゲロウ】だよ。動き出した鼓動、それはとある親子の絆を歪ませていた。
第六世代の自律兵器型ドライバは、再起動<リブート>を必要としていなかった。殲滅対象ハ、炎才ノ息子。人の心を持ちながらの、人らしからぬ言葉。そうだよ、天才の血はね、根絶やしにしなきゃいけないの。炎咎甲士は知らない。自分の向かう先に、数多の想いを踏み躙る【カゲロウ:ホムラ】が待っていることを。
かつて、評議会には道化の最高幹部が存在していた。そんな彼が評議会を裏切り、罪人となった後に最高幹部の席に就いたのもまた、竜の血を引く者だった。新しく席に就いた男に、竜殺しの異名が与えられていたのは、偶然だったのだろうか。
自立型や自律型が存在するのと同時に、武器型のエレメンツドライバも当然のように存在していた。君は失われた技術から生まれたんだよ。神才が語り出す始まり。一度ね、滅ぼしたんだ、でも人間って、過ちを繰り返す。だからね、天才は危険なんだ。