右手で弾くレバー。そのまま、左、中、右の順番に押される赤いボタン。左下に止まったチェリーが、微かな希望。よし、次で。再び弾くレバー。その瞬間、大当たりを告げる音が鳴り響く。これだから、止められないんだ。そんな青年にそっと声をかける。人生のギャンブルを始めましょう。ダストは勝者か敗者か。
ゴミクズみたいな毎日に、飽き飽きしてたんだよね。ダストは生まれ変わった自分に惚れ惚れしていた。だが、気付かない、その心と体が蝕まれていくことに。悪魔で構わないさ、俺は、勝ったんだ。そうだよ、君は勝者だ。一人の人生は敗者になり、もう一人の人生は勝者に。彼にとって、負けることが勝つことだった。
人によっては、新たな血に飲み込まれることを望んでいた。今までの自分にさよならを告げ、これからの自分におはようを告げる。それは終わりが始まりであるのと同意義であり、喜ばしいこと。何が悪で何が正義か、それは本人が決めることだから。