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音とは何か。音とは空気の振動であり、生ある者が動く時、必ず音が発生する。そこから定義されたのは、無音は死であるということ。その検証の為に創り出された機体がデシベルだったが、始められた検証には一つ誤算があったことに少女は気付いた。その後、機体は物音一つしない無音空間で、長い長い眠りについた。
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神と竜が争っていた頃、世界に溢れていた悲しい音。だけど微かな音さえ、ここには届かなかった。この無音空間で眠っていた無音機デシベルを目覚めさせたのは、届かない筈の悲しい音。再び戦争が始まろうとしていた。さてと、実験の続きでもはじめよっかな。少女の隣、原初の機械もまた、不敵な笑みを浮かべた。
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世界には幸せな音、悲しみの音、その全てが混ざり合い存在する。それは世界が生きている証明なのかも知れない。もし世界から音が消えたら、世界は死ぬのだろうか。それを検証する手段が考案されたが、一つの大きな懸念により、実験は見送られた。