熱とは何か。少女の頭に浮かんだ一つの疑問は、やがてジュールと呼ばれる答えを創り出した。その機体内で熱が生まれ、その熱が機体を動かし、また新たな熱を生む。だけど、辿り着いた答えは、また幾つもの疑問を少女の中に炙り出す。結局、その機体に火が灯ることが無いまま、一つの争いが終わりを迎えていた。
また争いが始まるんだね。それは少女にとって諦めであり、喜びでもあった。人間が生み出した炎が、まさか神の領域にまで届くとは。あの頃とは、また違った答えが見つかるかもしれないね。炎熱機ジュールに初めて灯された炎は、機体の融点を遥かに超えた温度で燃え上がる。今回は最後まで、見届けることにするよ。
全ての生命は産まれた時に熱を持ち、死に絶える時に熱を失う。命は燃え、舞う火の粉がまた新たな命となり、世界を燃やす。熱は活力の象徴。かつて、永遠の命を模して作られた機体が、その熱量に耐えきれる器を持たされなかったのは何故だろうか。