剣を手にした少女の一途な誓い、強すぎた想いが生み出した無自覚な嫉妬。眠れる獅子もまた、今もなお忘れ得ぬ親友へ抱き続けていたのは嫉妬にも似た憧れだった。その秘めたる嫉妬はやがて炎となり、そして二人の身体を焦がしていく。再び、灯った炎。病神・ゼロフィリアは、その様子をただじっと見つめていた。
燃える炎はやがて魂をも灼き尽くす程の大きさに。全身が包まれる中、閉じた瞼の裏で聞こえた言葉。あんたら、王様より先におネンネなんて、羨ましいご身分なこった。嫉妬神ゼロフィリアの皮肉に牙を剥くかの如く目を醒ました眠れる獅子と一途な少女。だが、彼らはまだ知らない。聖王がもう、聖王でないことを。
妬む想いはやがて身を滅ぼす。それでも人の欲は天井を知らず、所在不明のこの廃病棟で、今日も誰かがその身を焦がした。ここから退院した者は居るのだろうか。居るとすれば、その誰かは自分よりも大切な誰かに気付けたからなのかも知れない。