優しさに包まれた天界<セレスティア>の夜、クレオパトラの友人が一人、行方をくらませた。彼は非常に頭が良かった。ただ、その分、頭が悪かった。単なる家出かもしれない、だけど、彼女の胸には嫌な予感がよぎっていた。彼の持つ純真な想いが、悪意に染められてしまったら、彼女の友人は、頭の悪い天才だから。
行方不明の友人の手掛かりを見つけたのは魔界、上位なる存在が彼の手を引いていた。そして、その上位なる存在が手を引いたのは彼だけではなかった。闇の美女クレオパトラは、もう一人の手を引かれた存在、常界へと甘い悪意を送り込んだ一人の悪魔を包む闇と、その闇に溶けた本当の闇へと辿り着こうとしていた。
しっとりとした闇の中で安らぎを提供していた浴室。そんな場所で待ち構えていた闇の美女は、行方をくらませた友人の捜索に大忙し。見つけた手掛かりが、単なる家出と思われていた事件の裏に潜む大きな闇に通じた時、彼女は既に浴室を離れていた。