光の神は羨ましそうに天界を眺めていた。やっぱり、若いってイイねぇ。必死に走り回る光妖精王は汗を流しながらも笑顔を振りまいていた。でも、若さって残酷よ。それは幾度となく繰り返される争いを見てきた彼女だからこそ、こぼした言葉だった。
朝から晩まで終わらない追いかけっこ。それは春から冬まで。春は冬を追いかけているのかな。それとも、冬から逃げているのかな。その問いに対する少女の答え。私が春風だったら、きっと追いかけるよ。だが、終わりを迎えた追いかけっこ。そして、一人になったミドリは、一人で追いかけっこを始めたのだった。
少女は走る。ただ真っ直ぐに。ねぇ、なんでそんなに走らなきゃいけないのかな。そんな自問自答。なにかを追いかけているのかな。縦に振れない首。それとも、なにかから逃げているのかな。横に振れない首。だが、少女は立ち止まりはしなかった。
で、俺になんか用かよ。不機嫌な男が一人いた。会ってみたかった、じゃ、理由にならないか。ご機嫌な男が一人いた。それじゃ、帰らせてもらうわ。更に不機嫌になった男。ここがお前の帰るべき場所になる。更にご機嫌になった男。お前が六人目だ。
なんで、俺が。嘆いていたのは昨日まで査察局所属だった男。そんな男がお目付け役にと転属を命じられた先は特務機関。そこにはいわくつきの人間が集まっていた。誰の手引きか知らないが、俺はお前を歓迎する。差し出された右手。七人目はお前だ。
私は認めない、これがあの人の意思だなんて認めない。これはなにかの間違いです。だが、レオラの刃が届くことはない。この決断が、本当のあの人なんでしょうか。剣を持つ手は震える。本当にあいつを好きなら、こんなことで動じてんじゃねぇって。
オレが会いたいのも、アンタなんかじゃない。アスルが見つめ続けているのは、たったひとりの王。いま、アイツはどこにいるんだ。そんなこと聞いて、どうするのかしら。んなの決まってんだろ、殺しに行くんだよ。それはまた、別の男の声だった。