ねぇ、まだなのかしら。創水神シグルズが見つめた常界。早く会いたいのよ。染まる頬と、上がる息。あのときよりもね、ずっとイイ男になったのよ。染まる頬。あぁ、楽しみだわ。閉じた瞼に浮かべた光景。そうよ、苦痛に歪む、彼の顔が。今度は、どうしてあげようかしら。磨がれた刃。もう一度、奪ってあげるわ。
いまも全員が肌身離さず大切に持っていたのは、何気ないある日の家族の思い出の切り取られた1ページ。そして、いまも全員が肌身離さず大切に持っていたのもまた、小さくて、大きな共通したひとつの想いだった。思い出なんかで終わらせない、と。