ご機嫌いかがかしら。再会を果たした幾元嬢コスモ。よく、ここまで辿り着けたわね、妖精のあなたが。そう、ここは不夜城。とっておきの、ゲームを始めるのでしょう。彼女にとって、戦争はゲームでしかない。私は賭けたの、あなたが生きる未来に。そして、黒いウサギだけが生き残り、白いウサギが死ぬ未来に。
もうすぐだよ、もうすぐ彼がここに来る。そう語りかけたのは水波神。堕水才シュレディンガーは、蒼き兄弟が再会する、その時を心待ちにしていた。あの日に溺れた初恋、彷徨い続ける狂気の海、二つに割れた恋が一つに重なり合う時、沈む先は空か海か。そして、溺れ続けた初恋に、最後の答えを出そうとしていた。
私は、神に選ばれたのですね。堕闇卿ヘンペルの創り物の心は囚われていた。美しい神よ、美しい心よ、あぁ、今日も世界は美しい。同士も、そうは思わないかね。問いかけた先、堕王は虚ろな目で世界を眺めるのではなく、ただ映していた。そうか、同士も美しく感じるか、それは良かった。独り言は、響き続いた。
部外者を推薦するなど、悪趣味な神もいたものだな。軽蔑の眼差しの征服神ギルガメッシュ。君は、歴史の目撃者なんだ。そう言い残し、消えた悪戯神。いつの時代も、歴史は美化され、そして英雄は作られる。仕方ない、掌で踊ってやろう。征服神ギルガメッシュは、新生世界評議会の最高幹部の席に就いたのだった。
常界に発せられた特別警戒体制。天界と魔界の戦争による二次災害を最小限に食い止めるべく、トンビは各地を鎮圧していた。俺っちの仕事、これ以上増やさないでくれよ。それは決してなまけではなく、心からの声だった。いつか、平和が訪れたら、そん時は満天の星空に、でかい花火でも打ち上げて一杯やろうや。
炎救員トンビは、たびたび不可解な出来事に遭遇していた。救難信号を察し、向かった先で、すでに事件は終わりを迎えていることがあるのだ。助けられた人々もまた、誰が自分たちを助けてくれたのかを知らないという。まっ、天の救いってやつだな。その能天気な思考は幸か不幸か、とある計画への幇助となっていた。
炎による災害が奪う人々の幸せ。だから、俺っちがその幸せを守ってやるんだ。自然の摂理に逆らうことが出来ないとしても、抗うことなら出来るんじゃねぇの。だから俺っちは、めげたりなんかしねぇよ。それは災害に苦しむ人の、小さな希望だった。
不確かなイマ、それは決して完全なものではなく、脆く儚い世界。悲しいこともあるだろう。傷つくこともあるだろう。涙することもあるだろう。だが、それが生きるということなのだから。もし、辛くなったら思い出して。必死に生きた彼らのことを。