一等悪魔昇格の際に彼女へ手渡されたのは妖刀型ドライバ【ヒメヅル】。長いその刃を振るう度にほとばしる悪しき炎、何人もの罪人を闇へと葬り去ってきた。そんな彼女に、666議会から一通の手紙が届く。赤い月が昇る夜、不夜城を尋ねよ。不吉な予感に胸を弾ませた彼女は、これから始まる宴を心待ちにしていた。
赤い月の昇る夜、不夜城の女王の間、そこには懐かしい友の姿があった。一人は赤き女王に、一人は炎の魔将に、各々の道を進んだ少女達の再会。集まった六魔将、そして戻ったばかりの六色の女王を前に幻奏者は告げる。幼き魔女王に代わり、この魔界<へリスティア>を統べる新たな女王の名を、常闇の死神の名前を。
愛する妹と二人、同じ日に一等悪魔へと昇格を果たした彼女が受け取ったのは、対となる二刀のうちの片方、妖刀型ドライバ【ムラサメ】だった。悪しき水の力は、悪しき闇の力と共に、二人の仲を引き裂こうとする者達を葬り去ってきた。あなたさえいれば他に何も要らないわ。二人は世界を閉ざし、愛を確かめあった。
二人きりの世界を邪魔するのは、あなたね。赤い月が昇る夜、不夜城に招かれた水の魔将は機嫌を損ねていた。妹との時間を邪魔するなんて、ただじゃおかないわ。愛する妹と共に、一人の少女へと斬りかかる。そうゆう態度、嫌いじゃないわ。奈落の大蛇が弾いた二対の妖刀。少女は六魔将を従え、女王の玉座に着いた。
妖刀型ドライバ【ヤスツナ】を手にした一等悪魔は、悪しき風に吹かれていた。あぁ、風が泣いている。そっと呟いた独り言。だけど、一体誰に風の気持ちがわかるのだろうか。死刑執行人学園では、顔は良いが、少し残念な悪魔がいる、という噂が常に囁かれていた。そんな風の噂にさえ、彼は口元を緩めるのであった。
666議会からの勧誘、六魔将に選ばれるのに時間はかからなかった。風の魔将として、一段と風を吹かせる彼ももちろん、赤い月の夜、不夜城へ招かれていた。主役ってのは、遅れて登場するもんだぜ。計画的な遅刻、開いた女王の間。直後、寝ぼけた緑の女王の自立型ドライバにより、赤い月より赤く染められていた。
彼らは、今度こそ世界の為に戦ってくれるかな。悪戯神が口にする世界とは、どのような意味が込められているのだろうか。天界魔界のことなのか、統合世界のことなのか。それともまた別の世界のことなのか。世界って言葉は、本当に都合がイイネ。
魔界に降り立った始祖リリン。さぁ、終わりを始めましょう。だが、そんなリリンを止めるべく、魔界に降り立ったヒカリとユカリ。私たちが生きるイマの世界を、壊させたりしない。こうして、魔界でも世界の終わりをかけた戦いが始まるのだった。
リリンに従う創魔魂と創精魂。その二匹が放つ無数の攻撃。そして、受け止めたのはヒカリでもユカリでもなく、魔参謀長ファティマだった。あなたたちは力を温存してなさい。ここは私たちに任せてもらえるかしら。あなたも――。
――そう思うわよね、ヴィヴィアン。ファティマはひとりじゃなかった。そして、ふたりでもなかった。精参謀長ヴィヴィアンは宣言する。天界も魔界も関係ない。私たちの王が繋いだ手のために、すべてをかけて戦うと。ここにひとつになると誓う。
応ッ!無数の声。そして、我先に飛び出したヒメヅル。私だって、負けないよ。ヒメヅルを追い越したのは真晴隊を引き連れたサニィ。ふたりは舞うかのごとく、創魔魂への活路を開く。聖戦で流れた沢山の涙。だが、沢山の絆も生まれていたのだった。
それじゃあ、こっちは私たちかな。フードを深くかぶりなおしたアカズキン。たち、って、いつも勝手ね。そう言いながら、前へ出たヘレネ。あなたとは、言ってないけど? 生まれたのは小さな日常の笑い。こうして、創精魂への活路は生まれた。
私たちは守りを固めさせてもらう。創魔魂から生まれる沢山の攻撃を弾いてみせたのはムラサメと真蒼隊の隊員たち。そして、こぼれた攻撃を防いだのはレイニィと真雨隊の隊員たち。へぇ、いい顔になったじゃない。ここにもまた、絆は生まれていた。