道化の魔法使いは統合の先の融合を見据え、六つの光を呼び出した。一人の王は融合という約束された未来を受け入れ、開かれた扉のその先の王であろうとした。そして、もう一人の王、古の竜の王ノアは、そんな二人を、世界評議会の企みを、融合を阻止すべく、【ナノ・アーク】と共に上位なる世界から舞い降りた。
【テラ・アーク】は銃輪を、一人の青年の心と体を縛っていた鎖を噛み砕いた。人間にしては、なかなかやるみたいだな。それは最後まで大好きな仲間達を想い、そして、大嫌いな王を信じて戦った一人の青年へと贈られた言葉。竜王ノアと青年、そんな二人をいつの間にか取り囲んでいた特務竜隊は一斉に武器を構えた。
丘の上に建てられた小さな神殿、それは微かな光しか通すことの許されない古神殿ヒルズアーク。ここでは、光は微かで十分だった。一筋の光はやがて、大きな希望へと変わる。そう、古の竜王は自らが方舟に、自らが希望の光になろうとしていた。
もう、君達に好き勝手動かれるわけにはいかないんだ。雪術師は無の美女へと語りかけた。君には、君の仕事をしてもらわないと。だが、縦に振られない首。だったら、ここで消えてもらう。その時現れたもう一人の男。彼女の仕事はね、他にあるんだ。
小鳥のさえずりが聞こえた朝14時、オベロンは目を覚ました。太陽が沈み始める昼15時、昼食。微かな夕暮れ、夜16時、就寝。そんな日々を繰り返すも、彼はいつも眠そうだった。一度癖になってしまった生活習慣はなかなか治らないのだった。
魔界のとある街で囁かれていた噂話。それは幸福の羊。だが、その羊はどうみても幸せそうにはみえなかった。三つの炎を灯した燭台。闇夜にまぎれる黒いコート。そして、大きな角の生えた羊の頭。どこからどうみても、悪魔の使いのような姿をしていた。だが、確かに彼は、幸福の羊マトンと呼ばれていたのだった。
脱ぎ捨てられた羊の仮面。そして、ついに明らかになった幸福の羊の素顔。その素顔は何かに怯えていた。自白した噂の真相。生まれつきのアフロ頭と角を隠すための羊の被り物、夜が怖いが為に手に持った燭台。いつも逃げていたのは、極度の恥ずかしがり屋な為。そう、彼に罪はなかった。ただの臆病者だったのだ。
いくつかの区画に整備された神界の一区画では、とある情報が駆け巡っていた。下位なる世界で続く争い、そして、そんな下位なる世界の生まれでありながらも、神界へと招き入れられた一人の男がいる、と。アオイデも、そんな男へと興味を抱いていた。彼の体に流れる血を辿れば、必ず創醒の聖者にたどり着く、と。
芸唱神アオイデがたどり着いた創醒の聖者。そして、その血を受け継ぐ男。だから彼は、この世界に招き入れられた。それと同時に、その男が人間として生きていた頃のことを調べ始めた。どうして、彼みたいな存在が。存在していた相反する思想。そして、彼女は神界にもたらされる災厄に震え、救いの詩を歌い始めた。
自分が自分であるために、そして、自分という存在の肯定のために、自分だけの王を欲した神がいた。そんな神が神界に連れてきたのは王ではなく神だった。自分にすがる王がいない神は、神でいられるのだろうか。ムネーメの興味はそこに向いていた。ってことは、つまり。これから始まるドラマに期待を隠せずにいた。
張り込みを開始した芸憶神ムネーメ。これは素敵なドラマになるっす。だが、あっさりつまみ出された。彼女が考える次の一手。だが、実行に移すまでもなく、彼女の前に現れた神。ボクを追い掛け回しているのはキミかい。そして、すぐに彼女は問う。追い求めた男に、こんな形でフラれるって、どんな気持ちっすか。
やぁ、六聖人のみなさま。まさか全員が勢ぞろいするなんて、さぞかし大変なことが起きているのでしょう。その声は、更に別の方角から聞こえた。そんな大切な場面なら、是非ともボクにも立ち合わせておくれよ。そう、新たに現れたのはロキだった。