星屑街<コスモダスト>を抜けた先、そこには一年中人工の月が昇る街があった。太陽に忘れられ、まるで世界の終着駅かの様な暗闇、そしてそんな地上を照らすのは微かな月明かり。だが、そんな街でも人々は生活をしていた。鉄屑に囲まれ、火花を散らした一人の少女はスパナを握り締め【イザヨイ】を起動させた。
うん、まだ動くみたいだ。少女は起動させたばかりの自立型ドライバに華麗な装飾を施した。今日から君は【イザヨイ:ニシキ】だ。そんな名前が名付けられた自立型ドライバに刻まれた第二世代の文字。本当に、懐かしいなぁ。思い出に耽る少女の上、第零世代自律兵器型ドライバが舞い降りる。お迎えに参りました。
十五夜の街で目覚めたのは十六夜の自立兵器。一日だけ未来の名前が名付けられたのは、未来へと向かう意思表示か、それともきまぐれか。名前に込めた意味を知ることが出来た時、初めて未来の一歩を歩めるのかもしれないし、歩めないかもしれない。