一人の風を纏いし少女達が辿り着いた聖なる扉、だけどもう、そこには扉はおろか、人も何もかも存在してなどいなかった。唯一残されていたのは、無残に破られた大きな袋。聖なる文字を継ごうとも、所詮は妖精ね。そう口にしたのは、ふいに少女達の前に現われたマクベス。失意の風は一人の悪しき炎を加速させた。
私はただ、演じるだけ。炎戯魔マクベスは続ける。聖なる出口を目指すあなた達を、殺す役目を演じるだけ。圧倒的な力の差を前に、次々と崩れ落ちていく風の少女達。最後の力を振り絞り、放たれるのは竜巻。あら、彼女は私の獲物なのよ。巻き起こした風と勢いを増した炎を掻き分け、姿を現したのは道化の闇だった。
アイツを倒すのは、私の役目なんだから。獲物を目の前に炎と闇をぶつけ合う二人。そんな時、降り立った風神ヘズは刃で、その二人をあっさりと貫いた。なんでなの、あなたは、だって。自らが信じた主が呼び出した神を前に崩れ落ちる道化嬢。思わず駆け寄る風を纏いし少女はただ、ごめんねの言葉を繰り返していた。